スチュアート・ピム博士2019年のコスモス国際賞受賞記念講演
スチュアート・ピム博士が2019年のコスモス国際賞を受賞しました。大阪での受賞記念講演が大阪市学会館で2019年11月10日に行われたので、聴講してきました。
はじめに:コスモス国際賞の概要と目的
コスモス国際賞とは?
「自然と人間との共生」という理念のもとに、地球的・長期的な視野で生物多様性や生態系の保全に貢献する業績を顕彰するコスモス国際賞。この賞は、1990年に大阪で開催された花の万博を記念して創設された国際的な賞で、自然科学から人文・社会科学、芸術まで幅広い分野の人々が受賞しています。
コスモス国際賞(INTERNATIONAL COSMOS PRIZE)
☆創設
1990年に大阪で開催された花の万博を記念し、 その概念である 「自然と人間との共生」の 継承、発展を目的に1993年に創設した国際賞です。
☆顕彰対象
人間が自然を尊び、 調和しながら生きる 「自然と人間との共生」という理念の継承、発展に 寄与する業績を顕彰します。 これまでの分析的、 還元的な方法による業績ではなく、包括的、 統合的な方法を重視し、地球的、かつ長期的な視野を持つ業績に光をあてるもので、 ノーベル財団及びスウェーデン王立科学アカデミーからは、ノーベル賞にない非常に ユニークな視点であるとの評価を受けています。 授賞の対象分野は、 自然科学、人文、社会科学や芸術分野まで多岐にわたります。
☆選考
国内外の学識経験者からなる 「コスモス国際賞委員会」とそのもとに「コスモス国際賞 選考専門委員会」を設けています。 それらの組織で世界各国からの推薦が審査され、 受賞者が決定されます。
☆賞の内容
毎年、 原則として1個人または1グループを表彰します。 受賞者には賞状、メダルと副賞 4,000万円を贈ります。
☆名称
賞の名称 「コスモス」 は、 秋桜(コスモス) が咲き乱れる会場で閉幕を迎えた花の万博を 記念する意味と、その理念である 「自然と人間との共生」 の考え方につながる 「秩序あ る宇宙」 (Kosmos) を示します。
スチュアート・ピム教授の功績
ピム教授の食物網や種の絶滅速度に関する数理モデルの理論的貢献
スチュアート・ピム教授は、アメリカのデューク大学で保全生態学の教授を務める世界的な生物学者です。彼は、数理モデルを用いて、地球上の生物の食物網の複雑さや種の絶滅速度などを理論的に明らかにしました。
彼は、人間の活動によって生物多様性が危機に瀕していることを警告し、地球規模の生物多様性に関する政策や決定に大きな影響を与えました。
ピム教授が創設したNGO「セービング・ネイチャー」の実践的活動
また、彼は、科学と実践の両面において、生態系や生物多様性の保全に尽力しています。彼は、自らが立ち上げたNGO「セービング・ネイチャー」を通じて、生物保全活動プログラムを実践する団体を支援しています。
彼は、人間の活動によって生物多様性が危機に瀕していることを警告し、地球規模の生物多様性に関する政策や決定に大きな影響を与えました。また、彼は、科学と実践の両面において、生態系や生物多様性の保全に尽力しています。
彼は、熱帯雨林や湿地、草原などの重要な生態系を保護し、絶滅の危機にある種の救済に努めています。彼は、「自然と人間との共生」を実現するためには、科学的なデータだけでなく、地域社会の参加や協力、教育や普及なども必要であると主張しています。
彼は、アメリカのデューク大学で保全生態学の教授を務める世界的な生物学者です。彼は、数理モデルを用いて、地球上の生物の食物網の複雑さや種の絶滅速度などを理論的に明らかにしました。
スチュアート・ピム博士 2019年コスモス国際賞受賞大阪記念講演 「生物種の保全を通して、自然と人間との共生」
ピム教授の受賞講演で語った生物多様性の保全に関するメッセージ
彼は、自らが立ち上げたNGO「セービング・ネイチャー」を通じて、生物保全活動プログラムを実践する団体を支援しています。彼は、熱帯雨林や湿地、草原などの重要な生態系を保護し、絶滅の危機にある種の救済に努めています。
彼は、「自然と人間との共生」を実現するためには、科学的なデータだけでなく、地域社会の参加や協力、教育や普及なども必要であると主張しています。
受賞記念講演
大阪私学会館 講堂
コスモス国際賞 歴代受賞者
第23回受賞者 ヨハン・ロックストローム博士
第25回受賞者ジェーン・グドール博士
INTERNATIONAL COSMOS PRIZE
2017年(第25回) 受賞者
ジェーン・グドール博士 ジェーン・グドール・インスティテュート創設者
2017 (25th) Prizewinner Dr. Jane Goodall, DBE Founder, Jane Goodall Institute
ジェーン・グドール博士は、 「進化の隣人」である野生チンパンジーの研究を1960年に開始し、チンパンジーのシロアリ釣 りに代表される道具の使用や制作、長期にわたる母子のきずなの重要性の発見、近年では、チンパンジーが使用する道具 に地域ごとに異なる文化が存在することを突き止めるなど、野生チンパンジーの全体像を描き出すことに尽力してきた。 また、研究を発端として創案された「ルーツアンドシューツ」という環境プログラムを普及させるべく、世界のあらゆる場所で の講演活動を実践し、地球的視点における生命体相互の関係や統合性の理解を促進するうえで、多大な貢献を果たした。
スチュアート・ピム博士の業績
INTERNATIONAL COSMOS PRIZE
2019年(第27回) 受賞者
スチュアート・L・ピム教授
アメリカ デューク大学教授 (保全生態学 )
2019 (27th) Prizewinner
Prof. Stuart L. Pimm
Doris Duke Professor of Conservation Ecology Nicholas School of the Environment and Earth Science, Duke University, U.S.A.
スチュアート・ピム教授は、地球上の生物の食物網の複雑さや種の絶滅速度等について、 数理モデルを利用することにより 理論的に明らかにし、地球規模の生物多様性に関する政策などに大きな影響を与えてきた。 また、NGO「セービング・ネイ チャー」を立ち上げ、生物保全活動プログラムを実践する団体を支援するなど、生態系や生物多様性の保全に対して、 科学と実践の両面において多大な功績を果たしている。
Professor Stuart L. Pimm’s mathematical models have established the theoretical basis for understanding the complexities of food webs, the speed of species extinction and other such factors critical to the conservation of ecological habitats worldwide. He has established the non-profit foundation. “Saving Nature” (formerly called “SavingSpecies”) to take this work on conservation science into practical application in the field by supporting local groups in their habitat conservation activities and directing biodiversity conservation policy formulation based on scientific foundations. Pimm’s contributions through this marriage of theory and practice in the field of habitat and species preservation are most impressive.
アル・ゴア 米国副大統領 コスモス国際賞 2019年11月10日
おわりに
コスモス国際賞の受賞者であるスチュアート・ピム教授は、「自然と人間との共生」をめざす研究者たちです。
彼らは、自分の分野で優れた業績を残しただけでなく、自然と人間の関係を考える上で重要な視点やメッセージを提供してくれました。
私たちは、彼らの業績や人物から学ぶことができます。私たちも、自然と人間との共生を目指して、自分のできることを探してみましょう。
コスモス国際賞は、そんな私たちの挑戦を応援してくれる賞です。この賞は、「自然と人間との共生」の理念を広めるために、今後も優れた人々を表彰し続けるでしょう。私は、この賞に感謝し、この賞にふさわしい人々に敬意を表します。
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