エレイン・ホワイト 核兵器禁止条約交渉会議議長が語る教訓と今後の展望 8月1日

はじめに

核兵器は人類史上最も破壊的な兵器であり、その使用や保有は人道に対する重大な脅威です。しかし、核兵器を全面的に法的に禁止する国際法は存在しませんでした。そこで、2017年に国連で採択された核兵器禁止条約が注目されています。

この条約は、核兵器を使用することはもちろん、開発や生産、実験や貯蔵なども禁止し、また、被爆者や被ばく地域への支援も義務付ける画期的なものです。2021年1月22日に発効したこの条約は、核兵器廃絶への道筋をつけるとともに、核兵器のない世界の実現に向けて大きな一歩となりました。

この条約の交渉会議で議長を務めたホワイト国連常駐代表は、核兵器の廃絶に向けて国際社会に積極的なリーダーシップと行動力を発揮しました。彼女は日本の被爆者や被ばく者の苦しみに深い共感を示し、日本政府にも核兵器禁止条約への参加を呼びかけました。

核兵器禁止条約の交渉会議で議長を務めたホワイト国連常駐代表は、条約の採択から発効までの過程や、条約から得られた教訓について語ってくれました。

チリツィ・マルワラ国連大学学長とともに、条約の意義や今後の展望について議論しました。

エレイン・ホワイト大使とは

エレイン・ホワイト大使とは、コスタリカの外交官で、2017年に国連で採択された核兵器禁止条約の交渉会議の議長を務めた人物です。彼女は核兵器の廃絶に向けて、国際社会に積極的なリーダーシップと行動力を発揮しました。彼女は日本の被爆者や被ばく者の苦しみに深い共感を示し、日本政府にも核兵器禁止条約への参加を呼びかけました。

核兵器禁止条約とは

核兵器禁止条約とは、核兵器を全面的に法的に禁止する、国際法史上初の多国間条約です。同条約は、核兵器の使用、使用するとの威嚇、開発、生産、実験、あるいは貯蔵を禁止し、また、汚染地域における除染や被害者(被ばく者)支援の義務を各国に課します。

また、核兵器廃絶への道筋をつけ、核兵器のない世界の実現に不可欠で、根幹を成す一要素です。

核兵器禁止条約は、2017年7月7日に国連で採択され、2021年1月22日に発効しました。

現在までに86カ国が署名し、54カ国が批准しています。日本はまだ署名も批准もしていません。

核兵器禁止条約の意義

国連交渉会議で議長を務めたホワイト氏は、同条約によって核兵器の違法化が始まったと発言しました

同条約は中小国や市民社会の連携による「歴史的偉業」であり、核兵器の完全廃絶を唯一の方法と明記しています。

ホワイト氏は、同条約が持つ以下のような意義を強調しました。

  • 同条約は人道主義的な視点から核兵器の危険性や非人道性を認識し、被爆者や被ばく者の声や権利を尊重しています。同条約は核兵器の使用や保有によって引き起こされる人間や環境への壊滅的な影響を防ぐことができます。
  • 同条約は核不拡散体制を補完し、強化します。同条約は既存の核不拡散条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)などと並行して存在し、それらと協調して核軍縮や非核化を促進します。同条約は核兵器保有国やその同盟国に対しても影響力を持ちます。
  • 同条約は平和と安全保障の新たなパラダイムを提供します。同条約は核抑止論や安全保障保証論に依存しない、非暴力的で包摂的な平和構築の枠組みを示しています。同条約は他の武器や暴力に対する禁止や規制にもインスピレーションを与えます。

核兵器廃絶の取り組み

ホワイト氏は、市民社会や国際機関などの協力と多国間主義の運動が重要であると強調しました。

エレイン・ホワイト 国連コスタリカ常駐代表

チリツィ・マルワラ国連大学学長

榊原平

榊原平/Taira Sakakibara: