渋谷駅で見上げるべき岡本太郎の「明日の神話」 30メートル壁画が語る核兵器への警鐘

渋谷駅で見上げるべき岡本太郎の「明日の神話」の30メートルの壁画の画像

明日の神話 岡本太郎 1969

「明日の神話」という岡本太郎の作品は、岡本太郎がメキシコで制作した巨大な壁画で、第五福竜丸が被爆した際の水爆の炸裂の瞬間をモチーフとしています。

渋谷駅で見上げるべき岡本太郎の「明日の神話」の30メートルの壁画の画像

岡本太郎は原爆や水爆をテーマにした作品を多く描いており、広島や長崎の原爆の恐怖を人々に訴えかけるとともに、悲惨な体験を乗り越え、再生する人々のたくましさを描いたとされます。この壁画は、1968年から1969年にかけて制作されました。

渋谷駅で見上げるべき岡本太郎の「明日の神話」の30メートルの壁画の画像

制作経緯

この壁画は、メキシコで建築中だったホテルから依頼を受けたものでしたが、依頼主の経営状況が悪化したため、ホテルは未完成のまま放置され、納品された作品も行方不明になりました。2003年にメキシコシティ郊外で発見された後、修復されて2008年に渋谷駅に恒久設置されました。

展示場所

現在、「明日の神話」は渋谷駅のJR線と京王井の頭線を結ぶ連絡通路に展示されています。

意義

水爆の恐怖と人類の再生

岡本太郎は、第五福竜丸が被爆した際の水爆の炸裂の瞬間をモチーフとして、原爆や水爆による破壊と、その後の人類の復興と希望を表現しました。

壁画の中央には、水爆の火球が描かれており、その周りには、様々な生き物や人間が描かれています。壁画の左側には、死や苦しみを象徴する骸骨や悲しみに暮れる人々が描かれています。

壁画の右側には、生命力や勇気を象徴する動物や笑顔の人々が描かれています。岡本太郎は、原爆や水爆によっても滅びない人類の精神力を讃えたと言えます。

日本とメキシコの絆

岡本太郎は、メキシコでこの壁画を制作しましたが、その背景には日本とメキシコの友好関係があります。

メキシコは、第二次世界大戦後に日本と国交を回復した最初の国であり、また、第五福竜丸事件後に日本に対して同情的な態度を示した国でもありました。岡本太郎は、メキシコでこの壁画を制作することで、日本とメキシコの絆を強めるとともに、世界平和への願いを表現したと言えます。

パブリックアートとしての役割

この壁画は、岡本太郎のパブリックアートの代表作であり、大阪万博のシンボルタワー「太陽の塔」と対をなすと言われています。この壁画は、「原爆という事実は日本人全てが引き継がなければならない問題だ」という岡本太郎の思いを表現したものであり、現代社会においても核兵器やテロなどの脅威に対する警鐘となっています。

展示場所

現在、「明日への神話」は渋谷駅のJR線と京王井の頭線を結ぶ連絡通路に展示されています。

参考文献

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