雷雲の中の核反応と反物質の生成

nuclear reactions in thunderclouds 20190801 12

雷雲の中の核反応と反物質の生成

nuclear reactions in thunderclouds 20190801 2

本日は、霞が関の文部科学省で観測されている、雷雲の中での核反応についてお話しします。雷雲の中では、核反応が起きています。具体的には、窒素の同位体¹⁴Nが¹³C炭素、中性子n、そして陽電子ē⁺(反物質)に変わるという反応が起こります。この陽電子ē⁺は電子e⁻とともに対消滅し、ガンマ線を発生します。このガンマ線は「0.511メガ電子ボルト」というエネルギーを持っています。

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核反応の引き金とその影響

このような現象は、まるでオカルトのように思えるかもしれませんが、これは最新の科学研究による事実です。この核反応は、雷雲の中で高エネルギーの宇宙線が窒素原子核に衝突することで引き起こされます。対消滅によるガンマ線は、雷の発光と同時に検出されることが多く、雷の発生メカニズムや雷雲の構造に関する重要な情報を提供してくれます。

研究の進展とその成果

雷雲の中では、自然界でまれにしか見られない核反応や反物質の生成が起こっているのです。研究当初は政府の科学研究費が下りず、クラウドファンディングで研究費160万円を集めて観測機器を手作りし、今回の大発見に至りました。現在では、文部科学省のNISTEP(ナイスステップ)研究事業に選ばれています。

榎戸輝揚教授の貢献

 この研究には、京都大学の榎戸輝揚教授が大きく貢献しています。榎戸教授は、理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻宇宙放射学講座の准教授であり、特定国立研究開発法人理化学研究所の榎戸極限自然現象理研白眉研究チームのチームリーダーでもあります。

彼の研究は、X線天文学、特に磁場の強い中性子星「マグネター」、高エネルギー大気物理学、シチズンサイエンス「雷雲プロジェクト」、銀河宇宙線を使った月の水資源探査、中性子寿命の測定、ガンマ線バースト宇宙論など、多岐にわたります。彼の研究は、雷雲の中での核反応と反物質の生成についての理解を深めるための重要な一石となっています。

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以上が、雷雲の中での核反応と反物質の生成についてのお話でした。次回もお楽しみに。

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