横山幸雄✕愛知室内オーケストラ
10月19日、愛知芸術文化センターコンサートホールで、ピアニストの横山幸雄さんと愛知室内合奏団(ACO)による「ベートーヴェン協奏曲ツィクルス vol.1」が開催されました。
ベートーヴェン協奏曲ツィクルス vol.1
このシリーズは、2023年から2024年にかけて、ベートーヴェンの5つのピアノ協奏曲を全て演奏するという大規模なプロジェクトです。第一回目のこの日は、ピアノ協奏曲第1番がプログラムに組まれていました。
今回のコンサートの注目すべき点は、横山さんがピアノを弾きながら指揮も行うといういわゆる二刀流のようなことをされたことです。これは、ベートーヴェン自身も行っていたことで、彼の音楽に対する深い理解と高い技術を要求されます。
横山さんは、その難しい挑戦に見事に応えてくれました。
次回 Vol.2は、2024年5月11日14時から愛知芸術劇場 コンサートホールで開催されます。次回も期待大です!
ベートーヴェンの二刀流について
ベートーヴェンは、幼い頃からピアノの才能を発揮し、17歳でウィーンで演奏活動を始めました。作曲家として成功を収めた後も、ピアニストとしても精力的に活動し、ヨーロッパ各地で演奏旅行を行いました。また、指揮者としても活動し、自身の作品や他の作曲家の作品を演奏しました。
ベートーヴェンは、指揮をしながら演奏する二刀流も行っていました。指揮者としてオーケストラを率いながら、ピアノも演奏するのです。これは、当時としては珍しいことでした。しかし、ベートーヴェンは自分の音楽を自分で表現したかったのでしょう。彼は自分の作品に対する独自の解釈や感情を伝えることができました。また、即興的な要素も取り入れることで、聴衆を驚かせたり感動させたりしました。
シューベルトの深い感情とベートーヴェンの遊び心
コンサートは、シューベルトの「キプロスの女王ロザムンデ」序曲で始まりました。この曲は、シューベルトが作曲した劇付随音楽の中から選ばれたもので、美しい旋律と華やかなオーケストレーションが魅力です。ACOの演奏は、シューベルトの音楽にふさわしい透明感と表情豊かさを持っていました。
続いて、ハイドンの交響曲第104番ニ長調「ロンドン」が演奏されました。この曲は、ハイドンが最後に作曲した交響曲で、英国滞在中に受けた影響や自身の創造力が溢れ出ています。ACOの演奏は、ハイドンの音楽にふさわしい明るさと躍動感を持っていました。特に第4楽章「フィナーレ」では、英国民謡「ジャック・カム・ランニング」を引用した主題や対位法的な展開など、ハイドンの巧みな技法が聞きどころです。
休憩後は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15が演奏されました。
横山さんは、ピアノ演奏と指揮を同時にこなすという難しい挑戦に成功しました。
この曲は、ベートーヴェンが初めて作曲したピアノ協奏曲で、古典的な形式とロマンティックな情感が見事に調和しています。
横山さんのピアノは力強くて情熱的で、ACOのオーケストラは豊かで美しい音色で応えました。二つの音楽が見事に調和し、聴衆は息を呑むような感動を味わいました。特に第3楽章「ロンド」では、テンポの変化や即興的な装飾音など、ベートーヴェンらしい遊び心が楽しめました。
アンコールも素晴らしい演奏
コンサートの最後には、横山さんとACOのメンバーからアンコールがありました。以下がその内容です:
ハイドン/ピアノ三重奏曲第39番「ジプシー・トリオ」第3楽章 ピアノ/横山幸雄、ヴァイオリン/執行恒宏、チェロ/山際奈津香
この曲は、ハイドンが晩年に作曲した三重奏曲で、最後の楽章はジプシー音楽に影響された華やかなロンドです。横山さんと執行さん、山際さんの三人は、軽快で情熱的な演奏で聴衆を魅了しました。
シューベルト/4つの即興曲 第3番変イ長調
横山さんは、もう一度シューベルトの即興曲を弾いてくれました。この曲は、第1楽章と同じ調性で、穏やかで優美な旋律が続きます。横山さんの音色は、シューベルトの心情を表現するかのように、時に明るく、時に暗く変化しました。
ベートーヴェン/ピアノソナタ 第8番 「悲愴」第3楽章
最後に、ベートーヴェン/ピアノソナタ 第8番 「悲愴」第3楽章を、横山さんは指揮と演奏の二刀流で披露しました。
この曲は、ベートーヴェンがまだ若く、聴力を失い始めた頃に作曲したもので、激しい感情が爆発するような曲です。
横山さんは、速いテンポと力強いタッチで、ベートーヴェンの苦悩と闘志を表現しました。
コンサートは、大きな拍手と歓声で幕を閉じました。横山さんとACOの素晴らしい演奏に感動した聴衆は、満足そうに席を立ちました。
次回 Vol.2
次回 Vol.2は、2024年5月11日14時から愛知芸術劇場 コンサートホールで開催されます。次回も期待大です!
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