悠久の青 村居正之のギリシャ文明の情感あふれる約40作品 東京·郷さくら美術館

郷さくら美術館1階に展示される村居正之《月照》2016年の前に立つ榊原平

はじめに 村居正之の世界 ―歴史を刻む 悠久の青―

悠久の青とは、村居先生が1992年から制作している「ギリシャ・シリーズ」において、特に重要な色です。天然の岩絵具の中でも特に群青色に魅了され、独自の深みのある青色を表現し、その色づかいは「青い墨絵」と評されています。

村居先生の経歴と受賞歴

村居先生は、日本画壇を代表する現代日本画家です。

日本芸術院会員、日展理事、大阪芸術大学教授、美術学科長を務めています。

1947年に京都府で生まれ、京都市立日吉ヶ丘高等学校美術工芸コース日本画科を卒業後、池田遙邨に師事しました。

ギリシャ・シリーズの作品の魅力の紹介

ギリシャ文明の遺跡や建築の情感あふれる作品の数々。月照、リンドス黎明、輝く、アクロポリスの月、パルテノンの月などの作品を紹介します。

悠久の時を越えて描かれた青い世界をご堪能ください。

村居正之《照》2016年

照」が天皇陛下に与えた感動

また、村居先生は、2019年に「照」で恩賜賞・日本芸術院賞を受賞しています。

村居先生の作品は、天皇陛下もご覧になったことがあります。

村居正之 《灯

村居正之《リンドス黎明》1998年

村居正之の《リンドス黎明》は、1998年に制作された感動的な作品です。夜明けの日差しが画面左側から静かに差し込み、左の街と右の街の明暗の対比が深い情趣を醸し出しています。建物の明暗、そしてその周囲の群青色の微妙なグラデーションが、見る者の心を捉え、何とも言えない美しさを放っています。

この作品は、日の出の瞬間の静寂と活気を巧みに捉え、その一瞬一瞬が持つ無限の可能性と希望を感じさせます。

村居正之《輝く》2015年

村居正之《海への道》1994年

村居正之《アクロポリスの月》2005年

村居正之の《アクロポリスの月》は、2005年に制作された感動的な作品です。この作品は、紀元前に地中海交易の中心地として栄え、現在は廃墟となったアテネの町を描いています。
 夕闇が迫る空から、静かに昇る月が、その古代の遺跡を優しく照らしています。その月光は、過去の栄光を思い起こさせ、現在の静寂を深めます。また、粒子の細かい絵具が何層にも重ねて塗られ、美しいグラデーションを生み出した空は、まるで悠久の時を感じさせます。
その空の色彩は、日が沈むときの静けさと、夜が訪れるときの期待感を同時に表現しています。この作品は、時間と歴史の流れを感じさせ、見る者に深い感動を与えます。

村居正之《輝く》2015年

村居正之《パルテノンの月》1993年

この作品は、1993年に制作されたもので、村居さんの「ギリシャ・シリーズ」の最初の作品です。こちらは、パルテノン神殿の一部分を拡大して描いており、神殿の柱や装飾が細かく描き込まれています。岩絵具の青色は、こちらでは、神殿の表面にかすかにかかる月光として表現されており、神殿の質感や重厚さを際立たせています。村居さんは、この作品を描くきっかけとなったのは、1988年に初めてギリシャを訪れたときに、パルテノン神殿に感銘を受けたことだと語っています。

村居正之《メテオラ映》1998年

村居正之の《メテオラ映》は、1998年に制作された壮大な作品です。この作品は、ギリシア・セサリア地方北端に位置するメテオラという地名を冠しています。メテオラは、その奇岩群とその上に建設された修道院共同体で知られています。村居さんは、この壮大な風景を見事に描き出し、その大迫力を感じさせる作品を創り上げました。岩山の荒々しさと修道院の静寂が交錯する風景は、見る者に深い感銘を与えます。この作品は、自然と人間の共生を象徴するかのようで、その力強さと美しさが同時に表現されています。

村居正之 《アクロポリスの月》2005年

この作品は、2005年に制作された感動的な作品です。風化が進むアテネのアクロポリスの建物が、静かに時間を刻んでいます。

その頭上には、神秘的な月が静かに昇り、その光が建物を照らしています。この月光は、まるで過去の歴史を照らし出すかのように、建物の表面に映ります。

闇夜に包まれた中で、月光だけが建物を照らし、その美しさと歴史を強調しています。この作品は、時間と歴史の流れを感じさせ、見る者に深い感動を与えます。

村居正之先生によるアーティスト・トーク

この記事の一部として、以下のような内容を書くことができます。

まとめ

郷さくら美術館 特別展「村居正之の世界―歴史を刻む 悠久の青―」という展覧会について紹介しました。この展覧会は、現代日本画家の村居先生の「ギリシャ・シリーズ」の作品約40点を展示しています。村居先生は、天然の岩絵具を使って、ギリシャ文明の遺跡や建築を情感あふれる青色で描いています。

その色づかいは「青い墨絵」と評されており、悠久の時を越えて描かれた青い世界を表現しています。

村居先生の作品は、天皇陛下もご覧になったことがあり、2019年には「月 照」で恩賜賞・日本芸術院賞を受賞しています。

私は、この展覧会を見に行って、村居先生の作品に深く感動しました。ギリシャの歴史や文化に対する敬意と愛情が、作品から伝わってきました。特に、「月照」は、満月が照らすアクロポリスの遺跡が、まるで神々の住む世界のように見えました。村居さんの青色は、私の心に残りました。

この展覧会は、郷さくら美術館で開催されており、2024年1月31日まで見ることができます。また、村居先生自身によるアーティスト・トークも予定されていますので、ぜひご参加ください。

展覧会の案内

  • 展覧会名:村居正之の世界―歴史を刻む 悠久の青―
  • 会期:2023年12月2日(木)〜2024年2月25日(日)
  • 会場:郷さくら美術館(東京都目黒区上目黒1-7-13)
  • 開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
  • 休館日:月曜日(祝日/振替休日の場合は翌日・又は直後の平日)
  • 入館料:一般 800円
  • 問い合わせ:03-3496-1771(郷さくら美術館)

アーティスト・トーク

  • 日時:2024年1月13日(土)14時/2月3日(土)14時
  • 場所:郷さくら美術館
  • 講師:村居正之(日本芸術院会員、日展理事、大阪芸術大学教授、美術学科長)
  • 内容:ギリシャ・シリーズの制作過程や背景、岩絵具の特徴や技法などについて、作品を交えて解説します。
  • 申し込み:不要

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