名古屋 聖マルコ教会から巡る2つの聖夜。心揺さぶる「かけがえのない命」に出会った布池教会への巡礼記録

カトリック布池教会の鮮やかなステンドグラスを背に、階段に立つ榊󠄀原平。黒のコートに赤いチェックのマフラーを巻いた冬の装い

名古屋 聖マルコ教会で迎えるクリスマスイブ 礼拝の静寂

十二月二十四日、クリスマスイブ。

わたしたちは名古屋・白壁の地に建つ「名古屋聖マルコ教会」の門をくぐった。

一歩足を踏み入れれば、そこは外の喧騒を撥ね退けるような、キャンドルの火が揺れる静謐な空間であった。今夜行われたのは「九つの聖書日課と賛美歌」という伝統的な礼拝である。聖書の朗読が進むにつれ、物語は人間の罪と苦しみから、救い主の誕生という希望へと、静かに、しかし力強く移り変わっていった。

名古屋聖マルコ教会の聖堂内部。多くのキャンドルが灯り、赤い祭服をまとった司祭が静かに座っている

暗闇の中に灯るロウソクの火を見つめながら、わたしたちは牧師の語る言葉を噛み締めた。

「苦しみます」に寄り添う、かけがえのない命へのメッセージ

「クリスマスは、『苦しみます』の日である」

その響きに重ねられたのは、驚くほど深い慈愛のメッセージであった。

クリスマスとは、単なる華やかな祝祭ではない。

今、この瞬間も何かに悩み、孤独や日々の暮らしの苦労の中にいる者。その「苦しみます」という声に寄り添い、共に痛みを分かち合うために、この世に光が降ってきた日なのだ。

そして、牧師の声は厳かに、聖堂の隅々にまで響き渡った。

「あなたの命は、かけがえのない命である」

「あなたは、愛されている」

その言葉を聞いたとき、知らず知らずのうちに強張っていた心が、ふわりと解けていくのを感じた。特別な何かを成し遂げたからではなく、ただ今ここに生きていること。その命そのものが、ありのままに全肯定されていく。

名古屋聖マルコ教会の白い扉に飾られた、赤いリボンと金色のベルが印象的なクリスマスリース

礼拝の後は、用意されていたクリスマスケーキといちご、そして温かい紅茶をいただいた。 厳かな儀式のあとに広がる、このささやかで優しい時間が、強張っていた心をさらに解きほぐしてくれる。 共に食卓を囲む人々の笑顔の中に、牧師様が説かれた「愛」の形を見た気がした。

白い紙皿に盛り付けられたショートケーキといちご、カットされたりんご。その隣に、紙コップに入った温かい紅茶が添えられている。名古屋聖マルコ教会の礼拝後の一景。

夜の白壁を散歩して、荘厳なカトリック布池教会の大聖堂へ

聖マルコ教会を後にし、そのまま夜の白壁を散歩して「カトリック布池教会」へと向かった。

夜の闇にオレンジ色の光を放つ二つの尖塔がそびえ立つ、カトリック布池聖ヨハン教会の外観。正面の大きなステンドグラスからは色鮮やかな光が漏れ、荘厳な雰囲気を醸し出している。

日本聖公会の温かな灯火と、カトリック大聖堂の荘厳な静寂。

教派を越えた「聖夜の巡礼」は、わたしたちにとって一つの確信へと繋がった。

形式は違えど、そこで語られていた真理は一つであった。

「わたしたちの命は、かけがえのないもの。わたしたちは、等しく愛されている」

二つの教派を巡る巡礼を終えて ―― あなたは愛されている

教会の外に出れば、冬の夜気は凛として冷たく、しかし見上げた空はどこまでも澄んでいた。

カトリック布池教会の鮮やかなステンドグラスを背に、階段に立つ榊󠄀原平。黒のコートに赤いチェックのマフラーを巻いた冬の装い

この夜に受け取った「愛されている」という確かな実感を、二〇二六年の新しい日々を歩むためのお守りとしたい。

共にこの時間を分かち合ってくれた友人、そして温かく迎えてくださった教会の皆様に、心からの感謝を捧げる。

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