宿輪ゼミとは
宿輪ゼミは、帝京大学経済学部に所属する宿輪純一教授が主催する社会貢献活動の一つで、主に経済、金融、経営、映画評論などの話題について解説しています。宿輪教授は、自身の専門分野である通貨・国際経済・マクロ経済・国際金融・決済・金融などの最新事情や理論や予想を分かりやすく説明するほか、映画評論家としても活動しており、映画の内容やテーマやメッセージなどを分析しています。
第410回宿輪ゼミ今回のテーマは、中国の不動産大手である恒大集団が破産申請したことによる世界経済への影響でした。
以下が私のまとめです。
中国 不動産大手 恒大集団 破産
恒大集団とは、中国の不動産大手で、世界最大の住宅開発会社である。
しかし、膨大な負債を抱えて経営危機に陥り、米国の破産法15章(チャプター15)の適用を申請した。
この問題は、中国経済や世界経済にも影響を及ぼす可能性がある。恒大集団の負債は約50兆円に上り、中国の国内総生産(GDP)の2%に相当する。
恒大集団は、中国国内で発行した債券や銀行貸し出しの期限を政府の指示で猶予しているが、香港市場や米国市場で発行したドル建て債券の利払いについては、一部の債権者と交渉が難航している。
米連邦破産法 第15章(チャプター15) 外国の破産手続き
第15条は、外国の破産手続きに関与する米国の資産を凍結することを目的としており、恒大は米国で約20億ドル相当の債券を発行している。
恒大は、中国での破産手続きについてはまだ発表していないが、第11条の再生手続きではなく、第15条の保護を選択したことから、債権者との交渉に失敗した可能性がある。恒大の危機は、中国の不動産市場に深刻な影響を及ぼす可能性があり、世界経済にも波及する恐れがある。
米連邦破産法第11条(チャプター11):再生手続き
第11条の再生手続きとは、米国の破産法の一部で、債務者が事業を継続しながら債権者と債務の再編成について交渉することを可能にするものである。第11条の再生手続きでは、債務者は自己管理を行い、裁判所の監督の下で再生計画を作成する。再生計画は、債権者の同意や裁判所の承認が必要である。第11条の再生手続きは、債務者にとっては事業を存続させるチャンスを与え、債権者にとっては清算よりも多くの回収を期待できるメリットがある。しかし、第11条の再生手続きは、費用が高く、時間がかかり、複雑であるというデメリットもある。
■中国人民元 安
中国政府は、人民元の急激な変動を防ぐために、国有銀行に外国為替市場への介入を指示したり、人民元の中心レートを市場予想より元高水準に設定したりするなどの措置を取っている。
人民元安にはメリットもある。例えば、輸出競争力の向上や外貨準備高の増加などである。中国政府は、人民元安のメリットとデメリットを天秤にかけながら、為替政策を調整する必要がある。
■クルマ、不動産、
中国の代表的な自動車メーカーは、上海汽車集団(SAIC)、比亜迪(BYD)、百度(Baidu)、吉利汽車(Geely)、一汽集団(FAW Group)
中国の不動産制度と借地権の仕組み
中国の不動産制度は、土地の所有権と使用権を分離している。土地の所有権は国家や集団に属し、使用権は借地権として個人や企業に譲渡される。借地権は有期の契約であり、期限が切れると更新するか、所有者に返還するかしなければならない。借地権の期間は、住宅用地では70年、工業用地では50年、商業用地では40年である。借地権は有償で取得し、無償で譲渡することができる。借地権の価格は、土地の位置や面積、用途などによって異なる。
借地権の起源と変遷
借地権制度は、1978年に始まった改革開放政策の一環として導入された。当時、農村では集団所有制から家庭承包制へと移行し、農民に土地の使用権が付与された。都市では、国有企業や公共機関が占有していた土地を市場に開放し、個人や民間企業に売却した。これにより、土地市場が形成され、不動産開発が活発化した。1988年には、憲法に土地使用権の譲渡や抵当を認める条項が追加された。1990年代以降は、土地管理法や不動産登記法などの法律や規制が整備された。
借地権の問題と課題
借地権制度は、中国の経済発展に大きく貢献したが、一方で多くの問題や課題も生じている。例えば、以下のようなものである。
- 土地使用料や税金の不透明さや不公平さ
- 土地収用や強制移転に伴う補償や紛争
- 土地使用期限の満了後の更新条件や手続きの不明確さ
- 土地使用権証明書や登記簿の欠如や不整合
- 土地供給量や価格の政府による操作
- 土地投機や空き家などによる資源の浪費
これらの問題や課題を解決するためには、土地制度の改革が必要である。しかし、土地制度は中国社会の根幹をなすものであり、改革は容易ではない。政府や利害関係者の間で意見が対立し、抵抗も強い。今後も土地制度は中国経済と社会に大きな影響を与え続けるだろう。
■アルゼンチン
アルゼンチンは現在、経済危機に直面している。インフレ率は依然として高く、2023年2月時点で100%を超えている。経済は引き続きマクロ経済的な不均衡を示しており、経済成長の持続可能性が制限されています。
■FRB:Federal Reserve Board 米国のインフレ率の推移:インフレ率9%から3%へ
米国のインフレ率は、2020年には0.6%と低かったが、2021年には9.0%と急上昇した。これは、新型コロナウイルス感染症の影響で需要が減少し、供給が不足したことによるものである。2023年には3.0%に下落した。
■ロシアのルーブルとは?その由来と俗称について
ルーブルとは、ロシアの通貨単位である。ルーブルは、古代ロシア語で「切り取る」や「削る」という意味の動詞「рубить(ルビチ)」から派生した言葉である。これは、銀貨を切り分けて支払ったことに由来する。
ルーブルの歴史と変遷
ルーブルは、1704年にピョートル1世によって導入された。当時のルーブルは、28グラムの銀貨であり、100コペイカに相当した。その後、金本位制や紙幣の発行などによって、ルーブルの価値や形態は変化してきた。
ルーブルの現状と俗称
現在のルーブルは、1998年に発行されたものであり、1,000旧ルーブルに相当する。現在のルーブルは、国際通貨記号としてRUBや₽を用いる。また、ロシアでは、「塊」という俗称で呼ばれることもある。これは、銀貨を切り分けた際に出来た塊状の金属片を指す言葉である。
■打ち揚げ花火の高騰
花火に使われる火薬や包装紙の原料はウクライナやその周辺国から輸入されているため、戦争による物流の混乱や通貨の変動が影響しています。また、エネルギーの価格も高騰しており、花火の製造や運搬にかかるコストも上昇しています³。さらに、新型コロナウイルスの影響で花火大会の開催が不安定になり、資金集めが困難になっていることもあります。これらの理由で、打ち上げ花火の平均単価は2022年と比べて2割ほど高くなっていると言われています。
■日本長期金利1%
長期金利とは
長期金利とは、10年以上の期間で借り入れる際の金利のことで、一般的に国債の利回りで測定される。長期金利は、経済の将来の見通しやインフレ期待などに影響される。長期金利が高いと、借り入れコストが上昇し、投資や消費が減少する。長期金利が低いと、借り入れコストが低下し、投資や消費が増加する。
日本の長期金利の推移
日本の長期金利は、2020年には0.02%と低かったが、2021年には1.00%と急上昇した。これは、新型コロナウイルス感染症の収束やワクチン接種の進展により、経済回復やインフレ期待が高まったことによるものです。
■岸田内閣:2年目
- 岸田内閣は、2021年11月10日に発足した第1次岸田内閣と、2022年8月10日に改造された第2次岸田改造内閣からなります。自由民主党と公明党を与党とする連立内閣で、岸田はこの内閣を「政策断行内閣」と名付けた。
- 岸田内閣の主要政策は、「成長も、分配も」実現し、成長と分配の好循環を生み出すこと、「地方から変革を起こし、コロナ後の新しい社会を開拓すること」「国民と共にある外交・安全保障を進めること」「感染症有事への備えを万全にすること」「災害から、国民の生命・財産・暮らしを守ること」「東日本大震災からの復興に引き続き全力で取り組むこと」などである。
- 岸田内閣のもとで、為替レートや株価に大きな変動が見られました。2021年には1ドルが100円だったのに対し、2022年には1ドルが150円、145円と急激に円安になりました。これは、米国のインフレ率が高く、FRBが利上げを行ったことや、日本の経済成長が鈍化したことなどが要因と考えられます。円安は、輸出企業や海外投資家にとってはメリットですが、輸入品の値上げや国際競争力の低下などのデメリットもあります。
- 一方、日経平均株価は、2021年には3万円だったのに対し、2022年には3万2千円と上昇しました。これは、岸田内閣が成長と分配の好循環を目指して財政出動や規制緩和などの政策を打ち出したことや、コロナ禍からの経済回復への期待感などが背景にあると思われます。株価の上昇は、企業や個人の資産効果や消費意欲の向上などのメリットですが、バブル崩壊や格差拡大などのリスクもあります。
■徴兵保険から生命保険への転換
- 徴兵保険とは:徴兵保険とは、徴兵された人やその家族に対して、死亡や障害などの場合に保険金を支払う制度のことです。徴兵保険は、戦争や紛争などの特殊な状況において、国民の生命や財産を守るために国が責任を負うという考え方に基づいている。
- 徴兵保険の歴史:徴兵保険の歴史は、第一次世界大戦にまでさかのぼります。当時、米国では、徴兵された兵士に対して、民間の生命保険会社が高額な保険料を要求したり、戦争による死亡や障害を除外したりするなどの問題がありました。そこで、政府が徴兵された兵士に対して低額な保険料で保険を提供することを決めました。これが徴兵保険の始まりである。
- 徴兵保険の現状:現在、徴兵制度を採用している国は約60カ国ありますが、そのうち徴兵保険制度を採用している国は少数です。例えば、韓国では、徴兵された人に対して月額約1万ウォン(約900円)の保険料で最大1億ウォン(約900万円)の保険金を支払う制度があります。一方、日本では、自衛隊員に対しては自衛隊共済組合が運営する共済制度がありますが、これは厳密には徴兵保険ではありません。
- 富国生命:富国生命は、1923年に富国徴兵保険相互会社として創業した会社である。徴兵保険とは、徴兵された人やその家族に対して、死亡や障害などの場合に保険金を支払う制度である。戦後、徴兵制度が廃止されたため、富国生命保険相互会社に名称を変更し、生命保険会社に転換した。現在は、相互会社として様々な商品やサービスを提供している。
- マニュライフ生命保険:マニュライフ生命保険は、2001年に第百生命保険株式会社がカナダのマニュライフ・フィナンシャル・コーポレーションの傘下に入り、2002年に商号を変更した会社です。第百生命保険は、1918年に第百徴兵保険株式会社として設立された会社で、徴兵保険のほかにも火災保険や海上保険なども扱っていた。戦後、徴兵制度が廃止されたため、第百生命保険株式会社に名称を変更し、生命保険会社に転換しました。現在は、マニュライフ・フィナンシャル・コーポレーションの日本法人として様々な商品やサービスを提供している。
- プルデンシャル生命保険:プルデンシャル生命保険は、1988年に米国のプルデンシャル・ファイナンシャル・インクが日本で設立した外資系の生命保険会社である。1996年に大和生命という日本の生命保険会社を買収し、1998年に商号をプルデンシャル生命保険株式会社に変更した。大和晴明は、1947年に第一徴兵・東宝生命保険株式会社として創業した会社で、徴兵制度が廃止されたため、1950年に大和晴明と名称を変更した。現在は、プルデンシャル・ファイナンシャル・インクの日本法人として様々な商品やサービスを提供している 。
- ジブラルタ生命保険:ジブラルタ生命保険は、2001年に米国のAIGグループが日本で設立した外資系の生命保険会社です。2003年にAIGグループがアメリカンホーム・アシュアランスから分離した第一徴兵・東宝生命保険株式会社(旧大和晴明)を買収し、2004年に商号をジブラルタ生命保険株式会社に変更した。現在は、AIGグループの日本法人として様々な商品やサービスを提供している 。
NFCとその利用例
NFCとは、近距離無線通信の規格の一つである。かざすだけで通信できる技術である。NFCには、Type-A、Type-B、Type-Fの3種類の規格がある。日本では、Type-FのFeliCaという規格が主に利用されている。
日本の交通系ICカード
パスモやスイカは、日本の交通系ICカードである。FeliCaを搭載しており、電車やバスなどの公共交通機関やコンビニなどの店舗で利用できる。パスモやスイカは相互利用可能で、全国の交通系ICカードとも互換性がある。
香港のオクトパスカード
オクトパスカードは、香港の交通系ICカードである。FeliCaを搭載しており、電車やバスなどの公共交通機関やコンビニなどの店舗で利用できる。オクトパスカードは日本の交通系ICカードと相互利用可能ではないが、一部の空港や駅では日本円でチャージできる。
シンガポールのスタンダードカード
スタンダードカードは、シンガポールの交通系ICカードである。Type-AのMIFAREという規格を搭載しており、電車やバスなどの公共交通機関やコンビニなどの店舗で利用できる。スタンダードカードは日本や香港の交通系ICカードと相互利用可能ではないが、一部の空港や駅では日本円でチャージできる。
SUBARUが電動化戦略を加速
SUBARUは、2022年に発売する初のグローバルEVの名称を「SOLTERRA(ソルテラ)」に決定した。SOLTERRAは、SUBARUのAWD(全輪駆動)とボクサーエンジンの特徴を継承した新しいプラットフォーム「e-SUBARU Global Platform」を採用している。SOLTERRAは、日本、米国、欧州、中国などの主要市場で販売される予定である。
パナソニックエナジーとのパートナーシップ
SUBARUは、パナソニックエナジーと車載用円筒形リチウムイオン電池の供給に関する中長期的パートナーシップの構築に向けて協議を開始した。パナソニックエナジーが生産する次世代の車載用円筒形リチウムイオン電池をSUBARUに供給し、SUBARUはパナソニックエナジーから調達した電池を、群馬県内に新たに建設するバッテリーEV専用工場等で2020年代後半から生産開始する予定のバッテリーEVに搭載することを視野に入れている。
国内生産体制の戦略的再編
SUBARUは、電動化戦略の加速に向けて、国内生産体制の戦略的再編を実施すると発表した。2025年付近をターゲットに、BEVの自社生産に着手し、徐々にBEVの車種や台数を増やしていく予定である。2027年以降にはBEVの専用ラインの追加も含めて検討を進めている。また、トヨタ自動車と共同開発した次世代e-BOXERユニットの生産体制も構築していく 。
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