ソリダリダードが語る「認証を超えた価値創造」 オランダ大使館とFARM CANNINGが描く2025年の食の未来

オランダ王国大使館の紋章を背景に笑顔を見せる榊原平さんと女性。紋章には「JE MAINTIENDRAI(我は守る)」の文字が刻まれている。

2025年8月1日、在日オランダ王国大使館にて、国際NGOソリダリダード主催のセミナー「認証を超えた価値創造へ:企業と生産地をつなぐ新たな可能性」が開催されました。この意義深いセミナーに続き、逗子を拠点とするFARM CANNINGによる特別なレセプションが催され、参加者は食を通じて未来を語り合う温かい時間を過ごしました。

オランダ王国大使館の紋章を背景に笑顔を見せる榊原平さんと女性。紋章には「JE MAINTIENDRAI(我は守る)」の文字が刻まれている。
オランダ王国大使館の紋章を背景に

ソリダリダードは、1969年にオランダで設立された国際NGOであり、小規模農家の支援から始まり、フェアトレードラベルの草分けとなる「マックス・ハーベラー」を創設するなど、持続可能なサプライチェーンの構築に長年尽力してきました。今回のセミナーでは、特に欧州森林破壊防止規則(EUDR)や企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)といったEUの新たな規制動向に焦点を当て、その背景にある人権・環境問題への対応や、すべての企業に公平な競争環境を確保する重要性が語られました。

セミナーのテーマである「認証を超えた価値創造」とは、単に製品やプロセスが特定の認証基準を満たすだけでなく、その先の真の価値、つまり持続可能な社会の実現やサプライチェーン全体のポジティブな変革を目指すソリダリダードの考え方です。形式的な遵守にとどまらず、実際に児童労働、森林破壊、貧困といった根本的な社会・環境問題を解決するための行動を起こし、サプライチェーンの末端にいる小規模生産者をも包摂しながら、経済的・社会的・環境的な多角的な価値を創造していくことを意味します。

具体的には、以下のような意味合いが含まれています。

  1. 形式的な遵守を超えた実質的な変革:
    • 単に認証マークを取得したり、最低限の法的要件を満たしたりするだけでなく、実際に児童労働、森林破壊、貧困といった根本的な社会・環境問題を解決するための行動を起こすこと。
    • 企業が報告義務を果たすだけでなく、サプライチェーンの現場で真の改善とポジティブな影響を生み出すことに焦点を当てること。
  2. サプライチェーン全体の責任と包摂:
    • 複雑なサプライチェーンの末端にいる小規模生産者が、新たな規制や認証のコスト負担によって排除されることなく、むしろ彼らの能力強化や持続可能な生産への移行を支援すること。
    • 企業が単にリスクの高いサプライヤーとの取引を停止するのではなく、長期的なパートナーシップを築き、共に課題を解決していく姿勢。
  3. 経済的・社会的・環境的価値の統合:
    • 持続可能な生産が、生産者の生計向上(リビングインカムの実現など)、環境再生、そして企業のブランド価値向上やレジリエントなサプライチェーン構築に繋がるような、多角的な価値を創造すること。

ソリダリダードは、これまでの自発的な認証や取り組みだけでは限界があるとし、法的拘束力を持つデューデリジェンスの義務化が必要だと主張しています。しかし、その法規制も、単なる「お墨付き」ではなく、実際に現場に良い変化をもたらし、すべてのステークホルダーが恩恵を受けるような「価値創造」に繋がるべきだ、というメッセージが込められています。そして、日本企業に対しては、戦略的なデューデリジェンスの推進、サプライチェーンの現場理解、そして小規模農家の包摂と能力強化の優先が重要なメッセージとして送られました。

レセプション会場に設置された、神奈川県の農家や野菜を紹介する展示。新鮮な野菜の写真が並んでいる。
レセプション会場には神奈川県の農家を紹介する展示も

セミナーの熱気を引き継ぐように、レセプションではFARM CANNINGが心を込めて用意した「MOTTAINAI CATERING(もったいないケータリング)」が提供されました。彼らの活動の根底にあるのは、「季節を無駄なくおいしく」というコンセプト。市場には出回らない規格外の地元野菜に新たな命を吹き込み、見た目も美しく、そして何より美味しいベジタリアン料理の数々がテーブルを彩りました。

FARM CANNINGの「MOTTAINAI CATERING」の理念を記したメニューボード。キノコの写真も掲載されている。
FARM CANNINGの「MOTTAINAI CATERING」の理念

提供されたのは、「しいたけペーストのカナッペ」や「厚揚げのサルサソースがけ」など、旬の食材を最大限に活かした独創的なメニューばかり。彩り豊かな盛り合わせは、参加者の五感を刺激し、食の多様性とサステナビリティについて考えるきっかけを与えました。

FARM CANNINGが提供した、複数の料理が盛り付けられたお皿。キッシュやカナッペなどが確認できる。
FARM CANNINGが提供した彩り豊かな料理
FARM CANNINGのフィンガーフードが、木製の箱に美しく並べられている様子。複数の種類の料理が盛り付けられている。
木箱に美しく並べられたフィンガーフード

特に目を引いた「厚揚げのサルサソースがけ」は、素材本来の味が生かされ、FARM CANNINGの「Easy!、Organic、Homemade、Fair」という理念が息づいていました。

串に刺さった厚揚げに、トマトや野菜のサルサソースがかけられた料理。横には料理の説明札が置かれている。
「厚揚げのサルサソースがけ」

喉を潤したのは、清涼感あふれる宮崎茶房の冷煎茶。地元の茶葉を使用したこだわりの一杯です。また、「bread」と印字されたクラフトビールも提供され、地域との連携を感じさせました。

グラスとサーバーに注がれた美しい緑色の冷煎茶。横には宮崎茶房の紹介が書かれた札が置かれている。
宮崎茶房の冷煎茶
「bread」と書かれたシンプルなラベルのビール缶。缶の横には料理も写っている。
地域のクラフトビールも提供

FARM CANNINGのメニューには、旬の食材を最大限に活かし、食品ロスを減らすための工夫が凝らされています。その一つひとつが、地球にも身体にも優しい選択肢となることを示唆していました。

FARM CANNINGのメニュー一覧と、人参の束を持つ人の写真が掲載されたボード。
提供された独創的なメニューの一覧

オランダ王国大使館という歴史ある場所で開催されたこのレセプションは、1991年の開館以来、様々な交流の舞台となってきました。

「この大使館事務所は1991年10月22日オランダ王国ベアトリックス女王陛下によって開かれた」と日本語とオランダ語で書かれた銘板。
大使館の歴史を物語る開館記念の銘板

ソリダリダードの提唱する「認証を超えた価値創造」というテーマと、FARM CANNINGの「もったいない」の精神が共鳴した、意義深いレセプション。食を通じて、地域と地球の未来を繋ぐ温かいメッセージが込められた、記憶に残るひとときとなりました。

FARM CANNING
神奈川県逗子市を拠点に活動。「季節を無駄なくおいしく」をコンセプトに、規格外の野菜を活用した瓶詰やケータリングを通じて、食の大切さを伝えています。

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