川口成彦氏による古楽器の演奏会を訪ねて
穏やかな春の陽気の中、私、榊原平は愛知県犬山市の「博物館明治村」を訪ねました。今回の目的は、明治時代の建築美が息づく聖ザビエル天主堂で行われる、チェンバロ奏者・川口成彦さんの演奏会です。
聖域に響く、繊細で華やかな音色
会場となった聖ザビエル天主堂は、色鮮やかなステンドグラスから差し込む光が幻想的な空間を作り出していました。そこに鎮座するのは、蓋の内側に美しい風景画と草花が描かれた、美術品のようなチェンバロ。

指先から紡ぎ出される音が、高い天井へと吸い込まれ、柔らかな残響となって降り注ぐ時間は、まさにタイムスリップしたかのような錯覚を覚えるほどでした。

プログラム:バロックから古典派への旅
今回の演奏会で披露された曲目は、チェンバロの魅力を多角的に引き出す素晴らしい選曲でした。
- ヘンデル:組曲第5番 ホ長調 HWV 430(「調子の良い鍛冶屋」を含む)
- 煌びやかな変奏が、教会の響きと相まってより一層華やかに感じられました。
- フィオッコ:レント、気まぐれ(La Légère)、アンダンテ
- 繊細な装飾音と、軽快なリズムの対比が印象的でした。
- アルベロ:ソナタ第3番、ソナタ第4番
- スペインの作曲家らしい、情熱的でどこか憂いを含んだ旋律が心に響きます。
- アルベニス(マテオ・アルベニス):ソナタニ長調
- 晴れやかなフィナーレを飾るにふさわしい、躍動感あふれる一曲でした。
帝国ホテルでの優雅なティータイム
演奏会の余韻に浸りながら、次に向かったのは「帝国ホテル中央玄関」内にあるカフェ。歴史を感じさせる重厚な意匠に囲まれながら、ケーキセットをいただきました。
ブルーベリーが鮮やかなケーキと温かい紅茶。明治の建築美を眺めながら過ごす時間は、音楽とはまた違った贅沢な癒やしを与えてくれました。


建築と音楽の共鳴
モダンなピアノとは異なる、撥弦楽器特有の「チリチリ」とした繊細な振動。それが明治のレンガと木造のぬくもりが残る聖堂内で反響する様子は、現代のホールでは決して味わえない体験です。
建築、音楽、そして美味しいお茶。心身ともにリフレッシュされる、榊原平にとって至福の一日となりました。

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