ルノワールが描くブージヴァルのダンス:19世紀末のパリで踊る人々の光と影

名古屋ボストン美術館では、2016年3月19日から8月21日まで、『ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影』という企画展を開催しています。

『ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影展』に行ってきました

この展覧会では、ボストン美術館のコレクションを中心に、油絵、版画、写真など89点の作品で、19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパの生活を紹介しています。

この時代は、産業革命によって近代化が進み、人々の暮らしが劇的に変わりました。

都市はガス灯や劇場などで華やかさを増しましたが、同時に貧富の差や生活環境の悪化も生み出しました。

人々は都市に息苦しさを感じる一方で、自然や素朴な暮らしの残る田舎に憩いを求めるようになりました。

この展覧会では、「都市」と「田園」という二つのテーマで作品を分けて展示しています。

都市

都市では、パリやロンドンなどで暮らす人々の姿や風景を描いた作品が多く見られます。ドガやカッサットなど印象派の画家たちは、劇場やカフェなどで過ごす人々の表情や動きを捉えました。また、コローやキルヒナーなどは、都市化が進む中で孤独や不安を感じる人々を描きました。

田園

一方、田園では、フランスやオランダなどで農村生活を送る人々や風景を描いた作品が多く見られます。

ミレーやブレトンなどは、農民や羊飼いなどの素朴な人々の姿を描きました。また、モネやゴッホなどは、自然の色彩や光を表現するために野外で制作しました。

展覧会の目玉 ルノワールの大作《ブージヴァルのダンス》

展覧会の目玉は、ボストン美術館で最も愛されているルノワールの大作《ブージヴァルのダンス》です。

ブージヴァルのダンスの画像

この作品は、パリ郊外のブージヴァルという町で開かれたダンスパーティーの様子を描いたもので、都市と田園の両方の要素を含んでいます。

ルノワールは、木漏れ日を浴びる女性の肌やドレスの色彩を鮮やかに表現しました。また、赤い帽子をかぶった女性や背景の人々の表情や動きも見逃せません。

文化レクチャー「フランスの都会と田舎の暮らし」

展覧会に行く前に、アリアンス-フランセーズ愛知 の講師による文化レクチャー「フランスの都会と田舎の暮らし」を聴きました。
このレクチャーは、展覧会で見た作品と関連づけてフランスの社会や文化を理解するのに役立ちました。

文化レクチャーでは、フランスの都会と田舎の暮らしについて説明してくれました。

フランスでは、都市化や産業化が進んだ19世紀後半から20世紀初頭にかけて、都会と田舎の間に大きな対立やギャップが生まれました。

都会は、近代化や文明化の象徴として、多くの人々や芸術家たちを魅了しました。一方、田舎は、伝統や自然の美しさを保持する場所として、憧れや郷愁の対象となりました。

しかし、都会と田舎は、単純に対立するだけではなく、相互に影響し合ったり、融合したりもしました。例えば、都会の人々は、休暇や週末に田舎に行ってリラックスしたり、田舎の風景や文化を楽しんだりしました。また、田舎の人々も、都会の流行や技術を取り入れたり、都会に移住したりしました。

都会と田舎の対比や調和が表現

このレクチャーを聴いてから展覧会に行ったので、展覧会で見た作品にも、都会と田舎の対比や調和が表現されていることがより理解できました。

例えば、ルノワールは、パリで印象派の画家として活動しながらも、ブージヴァルや南仏などの田舎で多くの作品を描きました。

また、セザンヌやゴーギャンなどの後期印象派の画家たちは、南仏や太平洋の島々などの田舎で独自の画風を確立しました。これらの作品からは、都会と田舎が美術に与えた影響や刺激を感じることができます。

文化レクチャー「フランスの都会と田舎の暮らし」でのブージヴァルのダンスの画像
文化レクチャー「フランスの都会と田舎の暮らし」でのブージヴァルのダンス

展覧会「 ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影」展

展覧会は、ルノワールを中心とした印象派や後期印象派の画家たちが、19世紀後半から20世紀初頭にかけて描いた作品を約80点展示しています。展示されている作品は、主に風景画や人物画で、都市や田舎、自然や人間、光と影などの対比や調和を表現しています。展示は、ルノワールの時代というテーマに沿って、以下の4つのセクションに分かれています。

  • セクション1:パリ – 都市の変貌と新しい生活様式
  • セクション2:ブージヴァル – ルノワールとその仲間たち
  • セクション3:南仏 – 光と色彩の探求
  • セクション4:20世紀 – 近代美術への道

私が特に感動したのは、セクション2で見たルノワールの人気の作品 “ブージヴァルのダンス”でした。この作品は、パリ郊外のブージヴァルという町で開かれたダンスパーティーの様子を描いています。

背景には青空と緑の木々が広がり、前景にはカラフルな服を着た男女が踊っています。中央には、手をつないだカップルが微笑みあっています。

この作品からは、ルノワールが人々の幸せな瞬間を捉えることに情熱を持っていたことが伝わってきます。また、光や色彩、動きやリズムなどの表現技法も見事です。

この展覧会では、ルノワールをはじめとする芸術家たちが描いた近代ヨーロッパの光と影を楽しむことができます。19世紀末のパリで踊る人々の姿や、田園で暮らす人々の姿に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

まとめ

展覧会 “ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影”展は、フランスの近代美術を楽しむことができる素晴らしい展覧会でした。特にルノワールの “ブージヴァルのダンス”は見応えがありました。文化レクチャー「フランスの都会と田舎の暮らし」も興味深く聴くことができました。

展覧会とレクチャーを通して、フランスの社会や文化について学ぶことができました。このような機会を提供してくれた名古屋ボストン美術館とアリアンス-フランセーズ愛知 に感謝します。

アリアンス-フランセーズ愛知 の講師による文化レクチャー「フランスの都会と田舎の暮らし」を聴き、そのついでに行きました。

“ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影”展

文化レクチャー「フランスの都会と田舎の暮らし」でのブージヴァルのダンス
文化レクチャー「フランスの都会と田舎の暮らし」でのブージヴァルのダンス

「ルノアールの時代」展へ 榊原平

ブージヴァルのダンス 「ルノアールの時代」展 榊原平の画像

ブージヴァルのダンス

ブージヴァルのダンス 「ルノアールの時代」展へ 榊原平の画像

参考文献・リンク

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